八王子ラーメンの歴史

ラーメンの起源

まず、ラーメンとは何だろうか?
ということから考えると、麺に特徴があることにつきる。定義づけすれば、「小麦粉にかん水を加えて練り合わせた後製麺したもの」を使った食べ物といえる。

ラーメンは日本独自の食文化であると考えられるが、その理由にラーメン発祥の地の一つである、札幌の「竹家」の初代料理人「王 文彩」さんの作った麺料理(最初はロースー麺と呼んでいた。肉を糸のように刻んで油で揚げたものの下にそばよりは少し太めの白い麺でシャキッとした歯ごたえがあった麺)にはかん水は使用されていなかった。しかし、その店の店主の「大久 昌治」さんの作った麺にはかん水が使われていた。

つまり、中国(山東省)の麺料理には、かん水は使用されておらず、日本人が日本人の口に合うようにアレンジを加えたものがラーメンであるといえ、ラーメンは日本独自の食文化であるのだろう。

ラーメンという名前

現在、広く日本人に愛されている「ラーメン」はどのようにして名づけられたのか?
その答えとして 「文化麺類学・ラーメン編」(奥山 忠久著 明石書店)の一節を引用したい。

浅草と札幌(明治43年)(大正11年)その両方でと考える。理由の第一は、全国各地にウドン・ソバという麺食への慣れがあり、どこで生まれてもおかしくないという素地があった。第二に、両地の間には、今日考えるほどの情報交流はなかった。 第三に料理人のネットワークの可能性を検討してみると、「来来軒(浅草)」は広東系で「竹家(札幌)」は山東系という違いがある。

と述べている。この親しみやすい名前も現在のラーメン人気の要因の一つだろう

八王子ラーメンの定義

ここまでは、ラーメンそのものの歴史について書いてきた。ここからは、いよいよ我がまち八王子のラーメンについて紹介していこう。

全国的にはまだ知られていないが、我がまち八王子には地域に密着した独自のラーメンが長い歴史を踏まえて存在している。何をもって八王子ラーメンとするか、これは諸説わかれるところだが、私達「八麺会」ではここで大胆に「八王子ラーメン」の定義づけをしようと思う。

  1. 醤油ベースのタレ
  2. 表面を油が覆っている
  3. きざみ玉ねぎを具として用いられている

なぜ、我々が上の条件をもって八王子ラーメンとするのか、くわしくは次項「八王子ラーメンの歴史」で述べよう。

八王子ラーメンの歴史

まず、なぜ八王子ラーメンは「きざみ玉ねぎ」を具として使うようになったのか?
話は今から45年前に遡る。

昭和34年(1959年)、北野駅前で惣菜屋を営んでいたあるお店が区画整理による移転で子安町に引っ越すことになった。駅から離れてしまうため惣菜屋は難しいと考えた店主は「ラーメン店」を始めることにした。

その頃はラーメン店といえば出前をする中華料理店が当たり前で、ラーメン専門で、しかも店売りのみで生計を立てようとしたその店は、何か特徴を出そうと試行錯誤をしていた。

そんなとき、偶然、北海道旅行で「きざみ玉ねぎ」が入ったラーメンに出会ったのだ。しかし、北海道で食べたそのラーメンは食感は良かったものの、玉ねぎの辛味が抜け切らず、そのまま売るのは難しかった。

何とか玉ねぎの食感を損なわずに辛味を抜いたスープが作れないか、工夫を重ねた結果、考えついたのが油である。油は玉ねぎの辛味を抑え甘味を引き立ててくれたのだ。

現在、「八王子ラーメン」の多くは透明な油が表面を覆っている。各ラーメン店の取材の中でも、スープの素材は教えてもらえるものの、油のとり方、素材、部位は教えてもらえない。そのくらい、「きざみ玉ねぎ」と「油」の相性は抜群で重要なものなのである。そして、このラーメンスープに合うように八王子の製麺所(尾張屋滝井製麺所)がこの店の為に中華麺を作った。これが「八王子ラーメン」の始まりである。

一説には長ネギに比べ、玉ねぎは価格が安定していたから玉ねぎを使ったというものもあるが、それはあくまでも副産物であり、玉ねぎの食感と甘みを追求した結果、油に創意工夫を加えた八王子オリジナルのラーメンが完成したと考えたい。

このラーメンで開業した「初富士」はラーメン専門の店売りだけだったにも関わらず、大変な評判となり、その後、玉ねぎを入れたラーメンが八王子の各地に広がっていったのである。

現在の八王子ラーメン

こうして醤油タレに「きざみ玉ねぎ」を具として使ったラーメンは現在も八王子のラーメン店の主流をなしている。

しかし、時代の変化とともに各店の味は進化し、「尾張屋のめん」を使用した昔ながらの「八王子ラーメン」が人気を博す一方、「きざみ玉ねぎ」は使っているものの、スープの素材、とり方などが全く違う「八王子ラーメン」の店も行列ができる人気店が多い。 この人気を支えているのは年齢、性別を問わない客層で、特に飽きのこない味が年輩の方からは絶大な支持を得ている。

また、最近では全国的にも有名なラーメン店の支店などもオープンし、都内有名店で修行を積んだ若い人が新たな味で挑戦をするなど、八王子は大変な「ラーメン激戦区」となっている。